就業規則の規定の中に災害補償いう条文を設ける事がよくあります。
この災害補償の中で労災の上積補償を設ける際にも、何点かの留意事項があります。
今回は、この労災の上積補償の留意点と簡単な具体例を書いてみたいと思います。
業務災害の被災労働者、又は、その遺族は労働基準法上の労災補償とは別に使用者に対して「安全配慮義務違反」を理由に損害賠償請求を求められる場合があります。
この際に有効になるのが上積補償なのですが(その金額を限度に同一事由による被災労働者、又は、その遺族に対して負う損害賠償責任を免れるという意)、この制度を活用するには、制度を明確に定めて、従業員に周知する必要があります。
又、この制度を定める際は次の点を特に留意する必要があります。
通常は保険会社と保険契約をする事で上積補償制度を定めるのが一般的です。
(上積補償)
第○条 従業員、又は、その家族が労災の上積保険、弔慰金、見舞金その他名称の如何を問わず、業務上の災害により、会社から労災保険以外の給付を受ける場合には、従業員、又は、その家族はその価格の範囲内の民事損害賠償請求権を放棄しなければならない。
又、これらの上積補償は労災保険の労災補償給付と支給調整は行わないものとする。
(保険の手配)
第○条 会社は第○条の上積補償を行うために、保険会社と役員及び従業員を被保険者とした保険契約を締結し、その保険料は会社の全額負担とする。
(上積補償の種類)
第○条 上積補償は次の○種類とし、会社は前条に定めた保険契約に基づいて別表の金額を上積補償金として支払う。
(1)死亡補償金
(2)----補償金
(3)----補償金
*別表については割愛させて頂きました。
せっかく従業員のために補償を充実させるのですから、余計なトラブルは避けたいものです。
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服務規程とは会社の秩序を維持する為の事項を定めたもので、行動の規範を定める規程です。法律的には絶対的記載項目には該当しません。
また、会社と従業員の雇用契約には忠実義務が負荷されているので、必ずしも定めが必要ではないのですが、会社の意思を伝達する為にも、又、無用なトラブルをなくす為にも、なるべく詳細に定めるべきであると考えます。
従業員は雇用契約について次の義務を負う事を意味するのです。
この事を具体的に会社の実態に照らし合わせて作っていく事が重要です。
服務規程により懲戒処分を行う場合、次の事を満たす必要があります。
規程の具体例は企業によって多様である為、割愛します。
上記の事に留意して服務規程、懲戒規程を今一度、考えて頂ければ光栄です。
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退職金に関しては以前「就業規則」のコーナーの「退職金制度について」で1度記載させて頂いたのですが、今回は退職金規程を定める場合の留意事項とその具体例を書いてみたいと思います。
ただ、当事務所では、これから就業規則を作る場合で退職金支払実績のない企業様には退職金規程や退職金制度を採用する事は、お勧めしていません。
その理由は、将来、重くのしかかる企業負担を考えた場合、今現在では、その比重程度に見合ったモチベーション向上は望めないと考えているからです。
ただ、既に支払い実績があり、且つ、規程を定めている事自体を否定しているのではありません。
制度を定めるならば、充実した退職金制度を確立しなければならないと考えています。
(適用範囲)
第○条 この規程は就業規則第○条第○項に定める従業員を対象とするものとする。
(退職金の額)
第○条 退職金の額は賃金規程第○条の退職時の基本給に勤続年数を乗じるものとする。
*基本給でも構いませんが別の算定基礎額を用いる場合は、その基礎額の設定を退職金規程で定める必要があります。
(退職金の支払時期)
第○条 退職金の支払は従業員の退職日の属する月から、3ヶ月経過した月の従業員賃金支払日に行うものとする。
*調査(兼業禁止や競業禁止などの懲戒事項との関連)期間を設ける事が望ましいと考えます。
(退職金の不支給)
第○条 従業員が懲戒解雇された場合、退職金の全部又は一部を支給しないものとする。又、退職後の場合であっても、在職中の行為が懲戒解雇に該当すると判明した場合、も同様とし、既に支払いが完了しているものについて、会社は返還請求できるものとする。
2.退職時に役職にあった者が退職後6ヶ月以内に当社と競業する会社に転職、又は、競業する業務を自営するものに対しても退職金の一部を減額、あるいは返還させるものとする。
ここに記載したのは留意点の一部に過ぎません。
細心の注意を払って作成したいものです。
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就業規則と賃金規程を分けて記載する事は、とても重要な事だと思います。
それは、就業規則の中では賃金に関する詳細を書くのは無理があり、大雑把になりやすいからです。
そして、「就業規則に降級や降格の事を具体的に書けるのか ?」という事もよく質問を受ける案件なのですが・・・
実際、具体的に取り決めする事ができるのです。
「モチベーションの低下が心配だ」という事もよく伺う事です。
しかし、降級や降格の可能性を定めていない場合、採用時の面談や選考の時の基準を下げる事が非常に行いにくい事になります。
特に中小企業の場合、新規採用は中途採用が圧倒的に多く、即戦力の従業員を求める事が多いのですから、なおさら降級や降格の可能性を定める必要があるのです。
降級や降格とは、その職能レベルについてのランクを下げる(5級→4級)降級と、役職などの職能資格を低下させる(課長→係長)降格が代表例として上げる事ができます。
これは通常、それ相当の理由と就業規則の定めがあれば、違法にはなりません。
だだし、その為には職能レベルや役職などの職能資格に係る定義付けをしっかりと定め、そのモデルをはっきり決める事が、とても重要になります。(考課表や職能定義表 等で)
(役職の降格)
第○条 役職者の降格については、経営判断に基づき会社、又は役員会などの判断で適時行う事ができる。
(職能等級の降級)
第○条 会社は従業員が次の各号のいずれかに該当するときは、降級を行う事がある。
なるべくなら上記のような事は、ない方が良いのは当たり前ですね。
しかし、会社を守る為には必要な事だと考えます。
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中小企業において、マイカー通勤を許可している会社は多いと思いますが、場合によっては使用者責任及び運行供用者責任を問われるケースがあるのです。
そこで、今回はマイカー通勤の留意点とマイカー通勤規程の簡単な具体例を書いて見たいと思います。
*ここで問題になるのが下記の使用者責任及び運行供用者責任の有無になります。
使用者責任・・・事業の為、他人を使用する者が事業の執行につき、従業員が第3者に損害を与えた場合に使用者が負担する責任のことです。
運行供用者責任・・・その自動車を自分の裁量で思い通りに使用することができる状況にあり、その運行で利益を得ることのできる者が負担しなければならない責任のことです。
(EX)雇主、自動車の所有者、自動車の借主、自動車の貸主、名義貸主、未成年の親 等
上記1の場合は問題が少ないのですが、2・3の場合の注意は特に必要です。
休憩時間のマイカー使用も原則禁止にすることをお勧めします。
(目的)
第1条 この規程は、マイカーによる通勤の取扱いについて定める。
(自己車輌の定義)
第2条 この規程でマイカーとは、従業員が保有し、または占有して使用している自動車をいう。
(使用許可)
第3条 会社は次の各基準を満たす者の申請に基づき、マイカー通勤を許可する。
①マイカーで通勤せざるを得ない者
②運転免許取得1年以後の者
③-------------------------------
*会社実態に即して記載する事をお勧めします。
(申請手続)
第4条 従業員がマイカー通勤を使用する場合は次の事項を所定の申請用紙に記入し、運転免許証及び自動車保険証券の写しを添付し、総務課へ提出しなければならない。
①氏名
②運転免許取得日
③通勤経路
④-------------------------------
*会社実態に即して記載する事をお勧めします
(自動車保険の加入)
第5条 通勤に使用する自動車は必ず自動車損害賠償保険に加入した上で次の条件以上の任意保険に加入しなければならない。
①対人賠償 無制限
②対物賠償 ○○円
③搭乗者障害 ○○円
(通勤費)
第6条 第4条の申請手続きにより、マイカー通勤の許可を受けた者に対し、通勤距離に応じ所得税の非課税限度額の範囲で通勤費を支給する。
(遵守事項)
第7条 マイカーによる通勤を許可された者は、次の事項を守らなければならない。
①安全運転を励行する。
②運転免許証を常時携帯する。
③体調不良のときは運転をしない。
④-----------------------------
*禁止事項を含め詳しく記載することをお勧めします。
(免責事項)
第8条 会社は次にかかげる事項については一切責任を負わない。
①通勤中に起こした事故
②駐車中に生じたマイカーの盗難、損傷
③-----------------------------------
(届出)
第9条 マイカー通勤者は、次のいずれかに該当するときは、直ちに会社に届け出なければならない。
①通勤に使用する自動車を変更したとき。
②通勤経路を変更したとき。
③マイカー通勤を止めるとき。
④交通事故、交通違反で行政処分を受けたとき。
(有効期間及び許可の取消)
第10条 第4条の申請によって許可された者の有効期間は1年間とする。ただし、次の事由が発生した場合、会社は許可を取り消すものとする。
①本人の責に帰すべき重大な事故を起こしたとき。
②--------------------------------------------
③--------------------------------------------
*具体的に項目を記載する事をお勧めします。
附則 この規程は、平成○○年○○月○○日から施行する。
簡単に記載しましたが、この他に(事故発生の対応)や(事故の報告)又は、(会社の求償)や(違反者の処分)、(業務使用の禁止)についても記載するのが望ましいです。
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慶弔見舞金規程とは、このコーナーの最初に書いた「就業規則とは」で紹介させて頂いた絶対事項(必ず定めて記載しなければいけない項目)と相対事項(定めがあれば、記載する項目)の相対事項に該当します。
従って、一定のルールの中で従業員の全員が理解できればよいので、ある程度、自由に規定する事ができます。
そこで今回はポイントを入れながら、具体的に慶弔見舞金規程を書いてみたいと思います。
従業員、その親族に不幸が発生した場合、あるいは結婚や出産などの祝い事が発生した場合、香典や祝い金を支払った場合は基本的に福利厚生費となり損金で処理できます。
ただし、それはあくまでも、その支払根拠や金額に対する合理性が必要となります。
その時に必要な事柄をあらかじめ慶弔見舞金規程に定めておく事が必要になってくるのです。
*給与として支給すると福利厚生費にはなりません。
下記の内容は、あくまでもサンプルなので、具体的には会社の実態をよく検討して作っていく必要があります。
第1条(目的)
この規程は社員に慶弔があった時の慶弔金、見舞金について定める。
→パートや嘱託に適用するかどうかは会社の選択になります。
第2条(支給の範囲)
慶弔見舞金を支給する場合は次の通りとする。
→範囲も会社の選択になりますが、なるべく範囲を限定した方がよいと考えます。
第3条(届出)
この規程による慶弔見舞金を受けようと思う者は、その事実を証明する書類を提出しなければならない。
→どの部署に提出するかも特定した方がよいと考えます。
第4条(支給金額)
第2条の1〜7の支給金額は次の通りとする。
→勤続年数や役職で金額を変える事も可能です。
第5条(供花等)
配偶者、子、父母、同居の義父母が死亡したときは、供花一対と籠盛を供える。
付則
この規程は平成○○年○○月○○日より施行する。
簡単に書きましたが、あまり複雑にするとトラブルのもとになりかねません。
自然災害の際の被災についてや火事などの支援を盛り込むのも、福利厚生の充実になるので、望ましい事だと考えます。
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ほとんどの就業規則に懲戒についての記述があります。
ここで問題となるのは合理性のともなう根拠であると考えます。
事前に明確な根拠と具体的な罰が示されていないにも関わらず、罰が与えられると当然、理不尽に感じるでしょう。
根本的には罰しない罰されないが一番良い労使関係だとは思いますが・・・
もし、懲戒処分をせざるおえない場合の為に
懲戒処分と懲戒事由の因果関係を具体的に明示しておくべきと考えます(完全に網羅するのは不可能ですが)。
簡単に明示すると次のようになります(かなり割愛しますが)。
第○条 懲戒の種類は、次の各号の通りとする。
①叱責 始末書を提出させて将来を戒める。
②減給 始末書を提出させた上、給与を減ずる。
ただし、1事案につき平均賃金1日分の半額を超えず、複数事案においは当該支払期間における賃金総額の10分の1を超えないものとする。
第○条 従業員が次の各号の一に該当すれば叱責とする。ただし諸般の事情から情状酌量の余地があれば、懲戒を免除することがある。
①会社の業務上の指示・命令に従わなかったとき。
②正当な事由なく欠勤・遅刻・早退・私用外出などを行ったとき。
2.従業員が次の各号に該当した場合、減給とする。ただし諸般の事情から情状酌量の余地があれば、懲戒を免除することがある。
①正当な事由がない欠勤あるいは無断欠勤が2週間以上続いたとき。
本来は、もっと細かく明示されるものですが、私はニュアンスをお伝えしたいだけなので深く記述するのは割愛させていただきました。
所員ともども、お付き合いさせていただける日をお待ち申し上げております。
1966年3月16日
親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。
1966年に神戸市魚崎に生まれる。
高校までを兵庫県西宮市で過ごし、大学時代の4年間を京都で過ごす。(京都産業大学経営学部)
人材派遣会社の管理社員を経て、1995年に川添社会保険労務士事務所を設立。
「サービスで満足して頂ける社労士事務所になる」「お客様と共に成長する」「お客様の目線で法律を考える」を基本理念として活動させて頂いています。
川添社会保険労務士事務所
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