労災の療養(補償)給付の中に移送費があります。
申請漏れのよく起こる給付です。
今回は、この移送費について書いてみたいと思います。
*上記3の通院に関しては・・・
①住居又は勤務先から約4KMの範囲にある傷病の診療に適した指定医療機関へ通院する場合の通院であり、且つ、交通機関の利用距離が片道2KM超える通院
②住居又は勤務先から約4KMの範囲にある傷病の診療に適した指定医療機関がないために4KMを超える最寄りの指定医療機関への通院
③労働基準監督署長が診察を受けることを勧告、あるいは許可した医療機関への通院
上記①〜③の、いずれかに該当しなければなりません。
療養(補償)給付たる療養の費用請求書の移送費欄に移動区間・金額 等を記入し、診療に関する医師の証明を貰った上、領収書を添付して労働基準監督署へ請求する事になります。
*移送手段が鉄道やバス 等の公共の交通機関運賃で領収書がもらえないような場合は、領収書の添付は必要ありません。(医師の証明によって実診療日数が判断できる為)
受給できる場合は忘れずに受給しましょう。
平成19年10月より雇用保険制度の改正があります。
今回は、この制度改正について書いてみたいと思います。
*上記1〜6の改正は平成19年10月以降にその給付に該当した際、適用される事になります。
特に退職を伴う1〜3は、失業給付が貰えるつもりで退職したのに、法改正の為、受給できなかった という事が数多く発生する恐れがあるので、平成19年10月以降に退職される方には必ず説明する必要があると考えます。
気をつけましょう。
2007年より年度更新(労災保険・雇用保険の確定清算)の内容が改正されます。(一般拠出金の創出)
本来であれば、雇用保険の料率変更の法案が可決され、来週には年度更新の書類が送付されていたはずなのですが、日程が遅れるようですね。
ちなみに雇用保険料率は次のように引き下がる予定です。
一般業種・・・1.95%(事業主1.15% 被保険者0.8%)平成18年度まで
→1.5%(事業主0.9% 被保険者0.6%)平成19年度以降
建設業・・・2.25%(事業主1.35% 被保険者0.9%)平成18年度まで
→1.8%(事業主1.1% 被保険者0.7%)平成19年度以降
一般拠出金については下記の通りです。
「石綿による健康被害の救済に関する法律」より、アスベスト健康被害者の救済費用にあてるべく、事業主の方々に負担して頂く、お金の事です。
これは、全ての事業主に適用されますが、下記の事業主は対象外となっています。
労働保険の確定保険料にて料率を乗じて申告納付します。
*概算保険料は算出対象になりません、又、延納(分割納付)の対象になりませんので、この拠出金は一括納付になります。
業種は関係なく、一律で1000分の0.05です。
*メリット制の適用(割引・割増)はありません。
一般拠出金額=労働者の賃金総額(4月1日〜3月31日)× 0.05/1000
(EX)上記の期間の賃金総額が5000万円の場合
→5000万円 × 0.05/1000 =2500円
*賃金総額の千円未満は切捨てになります。
*有期事業(建設の事業)は平成19年4月1日以降に開始した工事が対象になります。
気をつけて処理して下さい。
離職して基本手当(失業給付)を受けるのは、再就職を目指す一定期間にはとても大切な事です。今回は基本手当(失業給付)の給付日数表を掲載したいと思います。
基本的な事ですが、大切な事だと思うので・・・
1.一般の受給資格者(定年退職、自己都合退職 等)
横軸・・・被保険者期間 縦軸・・・被保険者年齢
10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 | |
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
2.障害者等の就職困難者
横軸・・・被保険者期間 縦軸・・・被保険者年齢
1年未満 | 1年以上 | |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 150日 | 360日 |
3.特定受給資格者(倒産や解雇などで離職した者)
横軸・・・被保険者期間 縦軸・・・被保険者年齢
1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年 未満 | 10年以上20年未満 | 20年 以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ----- |
30歳以上35歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35歳以上45歳未満 | 90日 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45歳以上60歳未満 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60歳以上65歳未満 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
全て覚えるのは大変だと思うので、何かの時に参考にして頂ければ光栄です。
一口に労災といっても、そのケースは様々です。
大まかに書くと、大きく分けて業務上災害と通勤災害に分かれます。
今回は通勤災害の具体例について書いてみたいと思います。
通勤災害の定義・・・労働者が就業に関し、住居と就業場所との間を合理的な経路および方法により往復する際(このことが通勤の定義です)に負傷・疾病・障害または死亡する事です。
居酒屋に立ち寄る事自体は合理的経路の逸脱に該当しますし、居酒屋に立ち寄る事を目的にはしていますが、そこまでの道は合理的経路上という事になります。
従って、通勤災害に該当します。(但し、居酒屋に立ち寄った後の災害は除きます)
(EX)工場と飲食店と2つの会社で働いている者が自宅に帰宅する事なく、そのまま工場から飲食店に向う際に起こった被災事故
(この場合、後で働く事業所が申請対象になります)
又、3以上の事業所で働いていても同じです。
単身赴任先(転勤に伴い、転任直前の住居から転任直後の就業場所に通勤することが困難となったため住居を移転し、やむを得ない事情により、同居していた配偶者等と別居している労働者)が、赴任先住居と帰省先住居との間を移動している途中に災害に遭った場合、通勤災害に該当するか?
(但し、上記のように労働者と家族が同居できない具体的な理由などが必要になります)
単身赴任先(転勤に伴い、転任直前の住居から転任直後の就業場所に通勤することが困難となったため住居を移転し、やむを得ない事情により、同居していた配偶者等と別居している労働者)が、赴任先住居と帰省先住居との間を移動している途中に災害に遭った場合、通勤災害に該当するか?
例えば、長時間の残業・早朝出勤・交通ストライキ・自然現象のような場合に1時的に住居を移した場合はその場所を住居と考えます。
従って、通勤災害に該当します。
これは一番上のQの際に書いたのですが、通勤と関係ない逸脱・中断後はすべて通勤災害となりません。
ただ、日常生活上、必要最小限度のものは通常の経路に戻った時点で通勤災害の保護が適用されます。
日常生活上、必要最小限度のもの・・・
(EX)
但し、あくまでも合理的な通勤経路に戻った時から保護が適用されるのです。
代表的な事を簡単に書いてみました。
参考にして頂けたら光栄です。
不幸にも労災が発生した際に労働者災害補償保険法(労災法)により、被災者に休業(補償)給付が支給されます。
今回は、この休業(補償)給付について書いてみたいと思います。
労働者が、業務上又は通勤による負傷や疾病による療養のため労働することができず、そのために賃金を受けていないとき、休業補償給付(業務災害の場合)又は休業給付(通勤災害の場合)。
休業(補償)給付がその第4日目から支給されます。 (社会保険の「傷病手当」と違い連続する3日である必要がなく、断続する3日で受給できます)
*休業補償給付(業務災害)は初めの3日間は事業主の責任で休業補償が必要(平均賃金の60%)ですが、休業給付(通勤災害)はこれが必要ありません。
*但し3は就業規則 等で休業期間に賃金の59%以下を補償する旨を取り決め、支払いが発生(休業している事が前提です)していても休業(補償)給付は全額支給されますが、この補償割合は後述する特別支給金がある為、20%までが適当であると考えます。
又、見舞い金など恩恵的なものも併給調整の対象にはなりません。
休業(補償)給付=給付基礎日額の60% × 休業日数(暦日数)
休業特別支給金=給付基礎日額の20% × 休業日数(暦日数)
の合計80%が支給されます。
*通院のため労働者が所定労働時間の一部についてのみ労働(一部休業)した場合は、給付基礎日額からその労働に対して支払われる賃金の額を控除した額の60%に当たる額が支給されます。
給付基礎日額=平均賃金に相当する額の事で業務上または通勤災害の発生した日、又は、医師の診断によって疾病の発生が確定した日の直前の賃金締切日から3ヶ月溯って、その3ヶ月間に支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った1日当たりの賃金額です。
労災は起こらないにこした事はないのですが、起こってしまった場合は迅速に適切に対応したいものです。
「役員が業務中に負傷したらどうなるんですか?」これは、お客様によく聞かれる質問です。
今回は兼務役員の労働保険の給付について書いてみたいと思います。
兼務役員とは代表権のない役員で、役員の職責も担っていて、且つ、営業部長や工場長などの職につき、その労務の対価として賃金を受けている方の事です。
労働者の立場も持っている方です。
(EX)取締役営業部長 取締役工場長 等
又、労働保険では役員報酬は労務の対価として受ける賃金に該当しません、あくまでも、その職責に対する対価と考えます。
従って専務取締役や常務取締役あるいは監査役は労働法における労働者に該当しません。
①使用従属関係の有無
使用者の指揮命令を受けて労務を提供し、その対価として賃金を受けているかどうか という事です。
これが記述の通りなら一段階クリアとなります。
②業務執行権の有無
通常は兼務役員に執行権があったとしても、その範囲は、かなり限定的ですが会社によっては、その管理部署の執行権と決裁権を全て持っている兼務役員の方もいます。
その場合は業務執行権が有とみなされ労災や雇用保険の給付は行われない可能性が極めて高いです。
上記①が有・②が無の場合に初めて保険給付の権利が発生し保険加入が義務付けられるのです。
役員報酬を除く賃金部分のみに給付されます。
(EX)給与総額50万円・・・役員報酬20万円 賃金部分(諸手当含)30万円の場合30万円に対して保険給付が行われます。
又、役員報酬が給与総額の50%を超えてないように定める事を、お勧めします。役員報酬と賃金を明らかにした協定書を作る事も併せて、お勧めします。
中小企業で役員の給与体系が役員報酬1本にまとめられている事は、よくある事です。
実態に応じた給与体系にする事が肝心です。
昔から出向社員・派遣社員とはよく聞きましたが、最近は益々出向社員・派遣社員は増える傾向にあるようです。
そこで出向先で出向社員が労働中に業務災害にあってしまったら・・・
あるいは派遣先で派遣社員が労働中に業務災害にあってしまったら・・・
そんな事はないほうが良いに決まってますが、万が一の時には・・・
結論から先に述べれば出向社員は出向先企業の労災保険が適用されます。派遣社員は後述する事にしましょう。
仮に出向元が給与を支払っていたとしても、あるいは出向元が出向契約に基づき賃金名目の金銭支払があったとしても出向社員の労災の適用は実際の指揮命令及び監督権で判断されるのです。
ここが派遣社員が派遣先の会社で労災が発生した時との決定的な違いです。
派遣社員の場合は派遣元の労災が原則的に適用されるのです
(例外の事件も起きましたが・・・)
両者(出向契約と派遣契約)の決定的な違いは出向契約は直接雇用になりますが、派遣契約は直接雇用に該当しないのです。
従って派遣会社は派遣先の労務管理状況を充分に把握しなければなりません。
いずれにしても、労災って嫌な響きですね。
所員ともども、お付き合いさせていただける日をお待ち申し上げております。
1966年3月16日
親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。
1966年に神戸市魚崎に生まれる。
高校までを兵庫県西宮市で過ごし、大学時代の4年間を京都で過ごす。(京都産業大学経営学部)
人材派遣会社の管理社員を経て、1995年に川添社会保険労務士事務所を設立。
「サービスで満足して頂ける社労士事務所になる」「お客様と共に成長する」「お客様の目線で法律を考える」を基本理念として活動させて頂いています。
川添社会保険労務士事務所
0797-72-5931
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