労働基準法では各企業に法定帳簿の整備を義務付けています。
この法定帳簿とは労働者名簿・賃金台帳・出勤簿(タイムカードを含む)の事で、これを法定三帳簿と呼びます。
この法定三帳簿と雇用契約書・災害補償に関する書類に整備義務・保存義務があるわけです。
保存義務期間は一律で3年となっています。
ただし、起算日以降3年で各帳簿によって起算日が違います。
起算日は次の通りです。
ここから3年の保存義務があるのです。
*退職金については、その債権が5年間経過しないと消滅時効しない為、5年間保存する事が望ましいです。
また、雇用保険の被保険者の資格取得・喪失は退職後4年間、社会保険の関係書類は2年の保存義務がありますので気をつけて下さい。
労働者名簿
賃金台帳
雇用契約書
整備・保存できていますか?
面倒でも義務付けられているので、必ず整備・保存しましょう。
営業などの事業場外業務に従事する方や専門職種の裁量労働に従事する方の場合、残業時間を明確に区別しにくいものです。
今回はこのような方々の残業代の固定払いについて書いてみたいと思います。
これまで「1ヶ月単位の変形労働時間制」と「1年単位の変形労働時間制」について書いてきました。
最後の今回はフレックスタイム制について書いてみたいと思います。
1日の労働時間を固定せずに1ヶ月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者自身がその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決める制度です。生活にあわせて労働時間が決めるれる反面、会社全体のシフトが組みにくい面もあります。
コアタイム・・・1日の労働時間帯の中で必ず勤務すべき時間の事です。(必ずコアタイムを定める必要はありません)
フレシキブルタイム・・・1日の労働時間の中で、いつでも出退社する事のできる時間の事です。(これがフレックスタイム制の最大の特徴です)
フレックスタイム制を採用した場合に時間外労働となるのは、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間です。
ですから時間外労働であるかどうかは、1日単位では判断せず清算期間を単位としてのみ判断します。
従って、36協定(時間外労働・休日労働の協定書)についても、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、清算期間を通算して時間外労働をすることができる時間を協定すれば足ります。
(EX)清算期間1ヶ月 8月1日〜8月31日の期間で総労働時間が170時間 実労時間200の場合
→ 実労時間(200時間)−法定労働時間(177時間)=23時間
従って、23時間が残業となり割増賃金が必要という事になります。
また、実労時間(200時間)−総労働時間(170時間)−23時間(上記の割増賃金の時間)=7時間
については通常の賃金で支払う必要があります。(月給制・年俸制は通常の1ヶ月分です)
*8月1日〜8月31日の期間は法定労働時間は暦日数31日なので177時間「1ヶ月単位の変形労働時間」を参照して下さい。
割増賃金については上記の通りなのですが、フレックスタイム制には特有の賃金清算システムがあります。
それは、清算期間に労働時間の不足が発生した場合です。
この場合は次の1,2のいずれかで対応します。
*9月1日〜9月30日の期間は法定労働時間は暦日数30日なので171時間「1ヶ月単位の変形労働時間」を参照して下さい。
変形労働時間制はそれぞれ特徴がハッキリしてます。
また、割増賃金については「割増賃金について」を参照して下さい。
前回は「1ヶ月単位の変形労働時間制」について書きましたが、今回は1年単位の変形労働時間制について書いてみたいと思います。
対象期間が長いので1ヶ月単位の変形労働時間制より若干規制が厳しくなっています。
1年を通じて忙しい時期と比較的暇な時期がハッキリしている業種において、業務の閑散に合わせた所定労働時間を設定することができます。例えば春から夏にかけては比較的暇で秋から冬の時期に繁忙期が集中するような場合、春から夏は短時間のシフトを組み、秋から冬の繁忙期に時間を長くしたシフトを組む、といったように年間を通じて効率的なシフトを組む事が可能なのです。
年間を通して週40時間以内におさまれば良いという事です。
1年単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定に次の1〜5について協定を締結し、これを所轄労働基準監督署に届出する必要があります。
次の1〜3の場合、割増賃金が発生します。
次回はフレックスタイム制を記載します。
労働時間を効率的に使いたい、とはお客様のところでもよく受ける相談です。
今回から3回に渡って変形労働時間制について書いてみたいと思います。
まず、初回は最もポピュラーな1ヶ月単位の変形労働時間制について書いていきたいと思います。
1ヶ月の間で、忙しい時期と比較的暇な時期が現われる場合、業務の閑散に合わせた所定労働時間を設定することができます。例えば、月の後半に繁忙期となる場合、月の前半の所定労働時間を少なく設定し、月の後半の所定労働時間を多く設定することで、月全体として業務時間の短縮を行なうことができます。
平均して週40時間以内におさまれば良いという事です。
1ヶ月単位の変形労働時間制を導入するには、就業規則にその採用の旨を記載する、または労使協定を締結し、次の1〜3までの要件を満たす必要があります。
又、労使協定は所轄労働基準監督署に届出が必要ですし、10人以上の従業員がいる場合は就業規則も所轄労働基準監督署に届出が必要です。(但し、従業員が9人以下の場合は就業規則に次の1〜3を定める事で有効になります)
次の1〜3の場合、割増賃金が発生します。
次回は「1年単位の変形労働時間制」を記載します。
労働基準法では労働者の地位を守る為に、解雇について制限がされています(労働基準法第19条)。
そこで、今回は解雇制限について書いてみたいと思います。
労働基準法第19条
この場合の例外が・・・
①使用者が第81条の規定(業務上負傷したり病気になった労働者が療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合において、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を支払う場合)によって打切補償を支払った場合。
②天災事変などやむを得ない事由により事業の継続ができなくなった場合はこの限りではありません。(この場合は労働基準監督署の認定が必要です)
一定の契約期間のある労働契約は、他に契約期間満了後、引続き雇用関係が更新されると認められる事実がない限り、その期間満了に伴い終了する
⇒従って、解雇制限期間中(上記の労働基準法第19条)であっても期間満了とともに原則的に労働契約は終了します。
例外・・・
①書面は交わしていなくとも契約更新があった場合は解雇制限がかかる可能性が高いです。
②1年を超えて使用するパートタイマーの契約更新を行わないときは、少なくとも30日前に更新しない旨を予告しなければいけません。(パートタイム労働指針=努力義務)
就業規則に労働者の定年に達した翌日(月末等でも同じです)をもって、その雇用契約は自動的に終了する事が明らかで、かつ、従来この規程に基づいて定年に達すれば当然に雇用関係が消滅する慣行があり、それを従業員に周知徹底していれば労働契約は終了します。
⇒従って、解雇制限期間中(上記の労働基準法第19条)であっても期間満了とともに原則的に労働契約は終了します。
例外・・・
「勤務延長制度や再雇用制度」を運用している場合、その制度が従業員全員に適用されない場合、実質的に解雇制限がかかる可能性が高いです。
もちろん、「就業規則」の「懲戒規程」で規定した上、社会通念上相当である場合は最終手段として認められるのですが、想像以上に難しい事が多いので、就業規則等をよく整備しておく事が大切です。
前回は「就業規則」のコーナーで「年次有給休暇付与日数」について書きましたが、今回は年次有給休暇の請求や時季変更件について書いてみたいと思います。
労働基準法第39条に制定された労働者の権利であり会社の義務です。(付与日数は「年次有給休暇付与日数」をご覧下さい)
雇入れ日から通算して6ヶ月継続して勤務して全所定労働日の8割を超えて出勤した労働者に権利が発生し会社が義務を負うのです。
では、8割の出勤率に算入させるべき日
とは・・・
となります。
年次有給休暇の請求があれば原則として労働者が請求する日に与えなければなりません(退職を前提としていてもです)、ただし労働日に限ります。(休日や休職中に年次有給休暇を請求する事はできません)
又、年次有給休暇は1日単位で請求するのが原則ですが、使用者の同意があれば最短、半日単位で請求することができます。
事業の正常な運営を妨げる場合には使用者は時季変更権を行使することができます。
ただし、時季変更権はあくまで変更して年次有給休暇を与える日がある事が前提になる為、退職日を越えて時季変更権を行使する事はできません。
余談になりますが、雇用関係が終了すれば年次有給休暇の権利は消滅しますので、労働者が年次有給休暇を全て行使する前に退職すればそれは消滅します。
従って、雇用関係が終了している年次有給休暇の買い上げはできません。
これによく似た例が・・・
(EX)解雇予告除外認定を受け即時解雇した後に労働者から年次有給休暇の買取要求があった→これは受け付ける必要がないのです。
労使協定を締結し就業規則に規定した場合、労働者の年次有給休暇の5日を除く部分について(5日は自由に与える)計画的付与ができます。 (「計画的付与」をご覧下さい)
導入例としては
労使協定には・・・
就業規則には・・・
年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時期に計画的に取得させることとする」などのように定めることが必要です。
また拘束力は持ちませんが年次有給休暇を請求する際のルール作りも必要であると考えます。
割増賃金についてお悩みの事務担当者は多いと思います。
そこで今回は割増賃金について書いてみたいと思います。
割増賃金とは時間外手当・休日出勤手当・深夜手当の総称を指します。
ここで気をつけないといけないのは法定休日出勤手当は時間に関係なく3割5分で通しという事です。(休日労働は最初から割増賃金のため残業という概念がない為です、但し深夜の割増は加算します)
法定外休日出勤手当は時間外手当に該当します。
割増賃金の時間当りの単価を決める際、次の手当はその基礎から除外できます。
ここで注意しないといけないのは5の住宅手当です。
就業規則を確認して割増賃金の基礎を確認してみて下さい。
お問合せはコチラ
最近では人材派遣会社の労働力なくして労働市場は回らなくなりつつあるのが現実ですね。
そこで今回は労働者派遣の許可基準について簡単に書いてみます。
これら以外の業務について派遣事業ができる事になるのです。
この2つの事業の決定的違いは・・・
これ以外にも会社の立地条件などがあります。
たくさんの書類が必要になりますし、特に7の財産要件(一般人材派遣事業の場合)はハードルが高いですが、ある意味、様々の会社に様々な職種の労働者が在籍する事になるのですから妥当な気がします。
お問合せはコチラ
最近は労使の紛争が増えています。
そこで、本日は試用期間について書いてみます。
労働基準法に試用期間の長さについて特に定めはありません。
しかし、過去の裁判での判例を見てみると最長で1年程度が妥当ではないでしょうか。
ただし、一般的には3ヶ月か6ヶ月が多いと思います。
まずここで大切な事は
また、試用期間中であっても14日を越えると解雇予告が必要になります。(解雇ができないのではありません、あくまで予告もしくは予告手当が必要なのです)
社会保険・雇用保険においても雇入れ日から加入する義務があります。(試用期間後に加入する事はできません)
試用期間の延長については裁判の判例を見ても意見が分かれるのですが、一般的には・・・
上記2点ぐらいしか難しいでしょうね。
適正な処理で優秀な人材が雇用される事を願っています。
休日出勤の際に労働日に休みをとる制度に振替休日と代休があります。
聞いた感じは一緒でも、この2つの制度は根本的に違うのです。
従って、休日と労働日が入れ替わる為、休日出勤の割増も36協定も必要ないのです。
休日に労働が行われたその代償として後日休日をとると解釈する為、扱いとして休日労働になります。
従って、休日出勤の割増も36協定も必要になるのです。
こちらも混乱を招かないために、就業規則に定めが必要です。
いずれにしても、より良い職場環境は永遠のテーマですね。
法人様の労務管理上に欠かせないものの1つに雇用契約書があります。
労使間の対立を完全に回避するのは不可能であると考えますが、その予防策として1つの重要なツールになり得るのが雇用契約書と考えます。
法律的にも労働基準法第15条で労働条件の明示、または部分による書面での交付(則第5条)が定められています。
さて次の①〜⑬が明示すべき内容で①〜⑤は書面による交付が必要になります。
①労働契約の期間に関する事項
②就業場所及び従事すべき業務に関する事項
③労働時間に関する事項
④賃金に関する事項
⑤退職に関する事項
⑥退職金に関する事項(無ければ無いと伝える事)
⑦臨時賃金・賞与に関する事項(無ければ無いと伝える事)
⑧労働者に負担させるべき食費・作業用品その他控除に関する事項
⑨安全衛生に関する事項
⑩職業訓練に関する事項
⑪災害補償等に関する事項
⑫表彰・制裁に関する事項
⑬休職に関する事項
⑧〜⑬は就業規則の周知を含めて、実際に就業規則を明示して説明するのが望ましいと考えます。(就業規則を作成していれば・・・)
又、事業主及び労働者の記名・捺印も必要です。
面倒のように思われるかもしれませんが、初めにこの作業をする事によってモラルの向上・労使トラブルの軽減ができると考えます。
誰が話したかは、存知あげませんが正に「企業は人なり」安定的な雇用は必ず見えない付加価値を生み出す と信じております。
所員ともども、お付き合いさせていただける日をお待ち申し上げております。
1966年3月16日
親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。
1966年に神戸市魚崎に生まれる。
高校までを兵庫県西宮市で過ごし、大学時代の4年間を京都で過ごす。(京都産業大学経営学部)
人材派遣会社の管理社員を経て、1995年に川添社会保険労務士事務所を設立。
「サービスで満足して頂ける社労士事務所になる」「お客様と共に成長する」「お客様の目線で法律を考える」を基本理念として活動させて頂いています。
川添社会保険労務士事務所
0797-72-5931
0797-72-5932
E-mail:info@sr-kawasoe.jp
(業務エリア 神戸、大阪、
宝塚、西宮、尼崎 他)
〒665-0035
兵庫県宝塚市伊孑志3-2-1
プリムローズ逆瀬川402号
弊事務所はYAHOO JAPAN
の登録サイトです !!
デイサービス・訪問介護開業サポート