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労働基準法では各企業に法定帳簿の整備を義務付けています。
この法定帳簿とは労働者名簿賃金台帳出勤簿(タイムカードを含む)の事で、これを法定三帳簿と呼びます。
この法定三帳簿と雇用契約書・災害補償に関する書類に整備義務・保存義務があるわけです。

【保存期間】

保存義務期間は一律で3年となっています。
ただし、起算日以降3年で各帳簿によって起算日が違います。

起算日は次の通りです。

  1. 労働者名簿・・・労働者の死亡・退職・解雇の日
  2. 賃金台帳・・・労働者の最後の賃金について記入した日
  3. 出勤簿・・・労働者の最後の出勤日
  4. 雇用契約書・・・労働者の死亡・退職・解雇の日
  5. 災害補償に関する書類・・・災害補償の終了日

ここから3年の保存義務があるのです。

*退職金については、その債権が5年間経過しないと消滅時効しない為、5年間保存する事が望ましいです。

また、雇用保険の被保険者の資格取得・喪失は退職後4年間、社会保険の関係書類は2年の保存義務がありますので気をつけて下さい。

【記載事項】

労働者名簿

  1. 労働者氏名
  2. 生年月日
  3. 住所
  4. 性別
  5. 職歴
  6. 従事する業務
  7. 雇入れ日
  8. 死亡や退職の日、及びその理由

賃金台帳

  1. 労働者氏名
  2. 性別
  3. 賃金の計算根拠の事項
  4. 基本給や手当などの内訳
  5. 労働日数
  6. 労働時間数
  7. 時間外労働時間数
  8. 深夜労働時間数
  9. 休日労働時間数
  10. 控除項目、及びその額

雇用契約書

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所、及び従事する業務に関する事項
  3. 始業・就業の時刻、休憩時間、休日、休暇
  4. 労働者を2組以上に分けて交代勤務させる場合の就業時転換に関する事項
  5. 賃金の決定、計算及び支払いの方法
  6. 賃金の締め切り、及び支払いの時期
  7. 昇給に関する事項
  8. 退職に関する事項

整備・保存できていますか?

面倒でも義務付けられているので、必ず整備・保存しましょう。

営業などの事業場外業務に従事する方や専門職種の裁量労働に従事する方の場合、残業時間を明確に区別しにくいものです。

今回はこのような方々の残業代の固定払いについて書いてみたいと思います。

【固定払いの導入方】
  1. 基本給に何時間の残業を毎月算入しているかを明確にする
    (EX)
    所定労働時間(8時間) + 1時間 の9時間の基本給とする。

     
  2. 労使協定を締結する
    (EX)
    (第○条)-----部門の従業員については、基本給に○○手当を月額50,000円を含んで支給するものとする。
    又、この○○手当は時間外労働の割増部分を一部含むものとする。
    その金額は25,000円とするものとし、第○条の時間外労働の割増賃金で算出された時間外労働の割増賃金が25,000円を超える場合はその差額を支払うものとする。

    *わかり易くする為に、簡単に書きました。

     
  3. 時間外労働を固定払いにする各個人の割増賃金の額を算出する

    算式は・・・

    基準内賃金 ÷ 1ヶ月平均所定労働時間 × 0.25

    基準内賃金=給与総額から割増賃金の対象にならないものを除いた賃金

    *これはあくまでも事業場外労働を行う方や裁量労働に該当する方の基本給に割増賃金が含まれている場合であり、それ以外の方の場合1.25という係数になります。

     
  4. 2で決めた割増部分(上記であれば、25,000円)に何時間分の時間外労働が算入されているかを各個人ごとに把握する

    *各月の給与計算の際、上限の時間数を超えて労働している場合、必ず1.25倍の割増賃金をプラスして支給しなければなりません。(ここで3の係数0.25ではなく1.25になるのは上限を超過している部分は基本給に含まれていないからです)

    休日や深夜を含む場合はそれぞれの係数を勘案しなければなりません。

これまで「1ヶ月単位の変形労働時間制」「1年単位の変形労働時間制」について書いてきました。

最後の今回はフレックスタイム制について書いてみたいと思います。

【フレックスタイム制】

1日の労働時間を固定せずに1ヶ月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者自身がその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決める制度です。生活にあわせて労働時間が決めるれる反面、会社全体のシフトが組みにくい面もあります。

コアタイム・・・1日の労働時間帯の中で必ず勤務すべき時間の事です。(必ずコアタイムを定める必要はありません)

フレシキブルタイム・・・1日の労働時間の中で、いつでも出退社する事のできる時間の事です。(これがフレックスタイム制の最大の特徴です)

【フレックスタイム制の採用方法】
  1. 就業規則、又はそれに準ずるものにおいて始業及び終業の時刻を労働者の自主的な決定にゆだねる旨を定める。
     
  2. 次の①〜⑦の事項を労使協定で定める。
    対象労働者の範囲
    清算期間

    *1ヶ月以内の期間に限ります。
    清算期間における起算日
    *毎月1日や毎月21日のように具体的に定めなければなりません。
    清算期間における総労働時間
    総労働時間は・・・
    清算期間における総労働時間≦清算期間の日数÷7×法定労働時間(40時間
    具体的な総労働時間の上限 → 「1ヶ月の変形労働時間制」と同じです。
    標準となる1日の労働時間
    コアタイム・・・
    上記記載の通りです。
    フレキシブルタイム・・・上記記載の通りです。
【フレックスタイム制の割増賃金】

フレックスタイム制を採用した場合に時間外労働となるのは、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間です。
ですから時間外労働であるかどうかは、1日単位では判断せず清算期間を単位としてのみ判断します。
従って、36協定(時間外労働・休日労働の協定書)についても、1日について延長することができる時間を協定する必要はなく、清算期間を通算して時間外労働をすることができる時間を協定すれば足ります。

(EX)清算期間1ヶ月 8月1日〜8月31日の期間で総労働時間が170時間 実労時間200の場合

→ 実労時間(200時間)−法定労働時間(177時間)=23時間

従って、23時間が残業となり割増賃金が必要という事になります。

また、実労時間(200時間)−総労働時間(170時間)−23時間(上記の割増賃金の時間)=7時間
については通常の賃金で支払う必要があります。(月給制・年俸制は通常の1ヶ月分です)

*8月1日〜8月31日の期間は法定労働時間は暦日数31日なので177時間「1ヶ月単位の変形労働時間」を参照して下さい。

【フレックスタイム制の賃金の清算】

割増賃金については上記の通りなのですが、フレックスタイム制には特有の賃金清算システムがあります。
それは、清算期間に労働時間の不足が発生した場合です。

この場合は次の1,2のいずれかで対応します。

  1. 当月の賃金を控除(カット)して支払う。

    (EX)清算期間1ヶ月 8月1日〜8月31日の期間で総労働時間が170時間 実労時間160時間の場合

    → 総労働時間(170時間)−法定労働時間(160時間)=▲10時間

    従って、この10時間相当の賃金を控除(カット)します。
     
  2. 翌月の総労働時間に加算する。

    (EX)清算期間1ヶ月 8月1日〜8月31日の期間で総労働時間が170時間 実労時間160時間の場合

    → 総労働時間(170時間)−実労時間(160時間)=▲10時間
    この10時間を翌月に加算します。

    但し、翌月に加算できる時間の限度は法定労働時間から総労働時間を引いた時間になります。

    (EX)清算期間1ヶ月 9月1日〜9月30日の期間で総労働時間が160時間の場合
    →法定労働時間(171時間)−総労働時間(160時間)=11時間
    この場合、繰り越せる時間数の上限は11時間です。

*9月1日〜9月30日の期間は法定労働時間は暦日数30日なので171時間「1ヶ月単位の変形労働時間」を参照して下さい。

変形労働時間制はそれぞれ特徴がハッキリしてます。

また、割増賃金については「割増賃金について」を参照して下さい。

前回は「1ヶ月単位の変形労働時間制」について書きましたが、今回は1年単位の変形労働時間制について書いてみたいと思います。
対象期間が長いので1ヶ月単位の変形労働時間制より若干規制が厳しくなっています。

【1年単位の変形労働時間制】

1年を通じて忙しい時期と比較的暇な時期がハッキリしている業種において、業務の閑散に合わせた所定労働時間を設定することができます。例えば春から夏にかけては比較的暇で秋から冬の時期に繁忙期が集中するような場合、春から夏は短時間のシフトを組み、秋から冬の繁忙期に時間を長くしたシフトを組む、といったように年間を通じて効率的なシフトを組む事が可能なのです。
年間を通して週40時間以内におさまれば良いという事です。

【1年単位の変形労働時間制の採用方法】

1年単位の変形労働時間制を採用する場合、労使協定に次の1〜5について協定を締結し、これを所轄労働基準監督署に届出する必要があります。

  1. 対象労働者の範囲
     
  2. 対象期間及び起算日
    *1ヶ月を超え1年以内の期間に限ります。
     
  3. 特定期間
    *特定期間とは対象期間の全期間の各日、各週の所定労働時間を定める事が必要とされています。

    具体的には・・・
    ①最初の期間における労働日
    ②最初の期間における労働日ごとの労働時間
    ③最初の期間を除く各期間の労働日数
    ④最初の期間を除く各期間の総労働時間

    総労働時間は・・・

    対象期間における所定労働時間総数≦法定労働時間40時間×対象期間の暦日数÷7

    具体的には対象期間が1年の場合 → 2,085時間
    対象期間が6ヶ月の場合 → 1,045時間
    対象期間が3ヶ月の場合 → 525時間
    すべて小数点は切り捨ててます。
     
  4. 労働日及び労働日ごとの労働時間
    *対象期間の労働日の上限は原則、280日になります。
    但し、対象期間が3ヶ月以内の場合、制限はありません。


    *1日・1週の労働時間の限度は・・・ここが決定的に「1ヶ月単位の変形労働時間制」との違いです。
    1日 → 10時間
    1週 → 52時間
    *48時間を超える労働時間を設定できるのは連続3週間以内でなければなりません。

     
  5. 労使協定の有効期間
【1年単位の変形労働時間制の割増賃金】

次の1〜3の場合、割増賃金が発生します。

  1. 1日については、就業規則または労使協定により8時間を超える時間を定めた日は、その定めた時間を、その他の日は8時間を超えた部分
    (EX)所定労働時間9時間の日に10時間労働 → 1時間残業
    (EX)所定労働時間6時間の日に8時間労働 → 残業なし
    ただし、次の②③に該当すれば割増が必要です。

     
  2. 1週間については、同じく法定労働時間(40時間等)を超える時間を定めた週はその時間を、その他の週は法定労働時間を超えた部分(①で時間外労働となる部分を除く)
     
  3. 対象期間については、その期間における法定時間の総枠を超えた部分(①、②で時間外労働となる部分を除く)

次回はフレックスタイム制を記載します。

労働時間を効率的に使いたい、とはお客様のところでもよく受ける相談です。
今回から3回に渡って変形労働時間制について書いてみたいと思います。
まず、初回は最もポピュラーな1ヶ月単位の変形労働時間制について書いていきたいと思います。

【1ヶ月単位の変形労働時間制】

1ヶ月の間で、忙しい時期と比較的暇な時期が現われる場合、業務の閑散に合わせた所定労働時間を設定することができます。例えば、月の後半に繁忙期となる場合、月の前半の所定労働時間を少なく設定し、月の後半の所定労働時間を多く設定することで、月全体として業務時間の短縮を行なうことができます。
平均して週40時間以内におさまれば良いという事です。

【1ヶ月単位の変形労働時間制の採用方法】

1ヶ月単位の変形労働時間制を導入するには、就業規則にその採用の旨を記載する、または労使協定を締結し、次の1〜3までの要件を満たす必要があります。

又、労使協定は所轄労働基準監督署に届出が必要ですし、10人以上の従業員がいる場合は就業規則も所轄労働基準監督署に届出が必要です。(但し、従業員が9人以下の場合は就業規則に次の1〜3を定める事で有効になります)

  1. 1ヶ月以内の変形期間の長さと起算日を定める事

    *1ヶ月以内なので10日・20日・4週などのいずれでも構いません。
    *ただし、いずれの場合でも起算日は必ず記載する必要があります。

     
  2. 変形期間における法定労働時間の総枠を超えない事
    法定労働時間の総枠=法定労働時間(40時間) × 暦日数 ÷ 7

    具体的には

    暦日数が31日の月 → 177時間
    暦日数が30日の月 → 171時間
    暦日数が29日の月 → 165時間
    暦日数が28日の月 → 160時間
    すべて小数点は切り捨てています。

     
  3. 各日、各週の労働時間を特定する事
【1ヶ月単位の変形労働時間制の割増賃金】

次の1〜3の場合、割増賃金が発生します。

  1. 1日については、就業規則または労使協定により8時間を超える時間を定めた日は、その定めた時間を、その他の日は8時間を超えた部分
    (EX)所定労働時間9時間の日に10時間労働 → 1時間残業
    (EX)所定労働時間6時間の日に8時間労働 → 残業なし
    ただし、次の②③に該当すれば割増が必要です。

     
  2. 1週間については、同じく法定労働時間(40時間等)を超える時間を定めた週はその時間を、その他の週は法定労働時間を超えた部分(①で時間外労働となる部分を除く)
     
  3. 変形期間については、その期間における法定時間の総枠を超えた部分(①、②で時間外労働となる部分を除く)

次回は「1年単位の変形労働時間制」を記載します。

労働基準法では労働者の地位を守る為に、解雇について制限がされています(労働基準法第19条)。
そこで、今回は解雇制限について書いてみたいと思います。

【解雇制限】

労働基準法第19条

  1. 労働者が業務上負傷したり、病気になった場合に、その療養のために休業する期間及びその後30日間と、産前産後の女性が休業する期間(産前42日産後56日)及びその後30日間は解雇できません。
     
  2. 天災事変その他やむを得ない事由による解雇については、その事由について所轄の労働基準監督署長の認定を受けなければなりません。

この場合の例外が・・・

①使用者が第81条の規定(業務上負傷したり病気になった労働者が療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合において、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を支払う場合)によって打切補償を支払った場合。

②天災事変などやむを得ない事由により事業の継続ができなくなった場合はこの限りではありません。(この場合は労働基準監督署の認定が必要です)

【解雇制限と労働契約の満了】

一定の契約期間のある労働契約は、他に契約期間満了後、引続き雇用関係が更新されると認められる事実がない限り、その期間満了に伴い終了する

⇒従って、解雇制限期間中(上記の労働基準法第19条)であっても期間満了とともに原則的に労働契約は終了します。

例外・・・

書面は交わしていなくとも契約更新があった場合は解雇制限がかかる可能性が高いです。

②1年を超えて使用するパートタイマーの契約更新を行わないときは、少なくとも30日前に更新しない旨を予告しなければいけません。(パートタイム労働指針=努力義務)

【解雇制限と定年退職】

就業規則に労働者の定年に達した翌日(月末等でも同じです)をもって、その雇用契約は自動的に終了する事が明らかで、かつ、従来この規程に基づいて定年に達すれば当然に雇用関係が消滅する慣行があり、それを従業員に周知徹底していれば労働契約は終了します。

⇒従って、解雇制限期間中(上記の労働基準法第19条)であっても期間満了とともに原則的に労働契約は終了します。

例外・・・
「勤務延長制度や再雇用制度」を運用している場合、その制度が従業員全員に適用されない場合、実質的に解雇制限がかかる可能性が高いです。

もちろん、「就業規則」「懲戒規程」で規定した上、社会通念上相当である場合は最終手段として認められるのですが、想像以上に難しい事が多いので、就業規則等をよく整備しておく事が大切です。

前回は「就業規則」のコーナーで「年次有給休暇付与日数」について書きましたが、今回は年次有給休暇の請求や時季変更件について書いてみたいと思います。

【年次有給休暇】

労働基準法第39条に制定された労働者の権利であり会社の義務です。(付与日数は「年次有給休暇付与日数」をご覧下さい)
雇入れ日から通算して6ヶ月継続して勤務して全所定労働日の8割を超えて出勤した労働者に権利が発生し会社が義務を負うのです。

では、8割の出勤率に算入させるべき日

とは・・・

  1. 当然ですが出勤日
  2. 業務上の傷病による欠勤日(通勤災害は労使の定めによります)
  3. 労働基準法による産前産後の休業期間(産前42日産後56日)
  4. 育児休業法による育児休業期間
  5. 年次有給休暇を使用して休んだ日

となります。

【年次有給休暇の請求】

年次有給休暇の請求があれば原則として労働者が請求する日に与えなければなりません(退職を前提としていてもです)、ただし労働日に限ります。(休日や休職中に年次有給休暇を請求する事はできません)
又、年次有給休暇は1日単位で請求するのが原則ですが、使用者の同意があれば最短、半日単位で請求することができます。

【時季変更権】

事業の正常な運営を妨げる場合には使用者は時季変更権を行使することができます。
ただし、時季変更権はあくまで変更して年次有給休暇を与える日がある事が前提になる為、退職日を越えて時季変更権を行使する事はできません。

余談になりますが、雇用関係が終了すれば年次有給休暇の権利は消滅しますので、労働者が年次有給休暇を全て行使する前に退職すればそれは消滅します。
従って、雇用関係が終了している年次有給休暇の買い上げはできません。
これによく似た例が・・・

(EX)解雇予告除外認定を受け即時解雇した後に労働者から年次有給休暇の買取要求があった→これは受け付ける必要がないのです。

【計画的付与】

労使協定を締結し就業規則に規定した場合、労働者の年次有給休暇の5日を除く部分について(5日は自由に与える)計画的付与ができます。 (計画的付与をご覧下さい)
導入例としては

  1. 事業場全体の休業による一斉付与の場合
  2. 交代制付与の場合
  3. 個人別付与の場合

労使協定には・・・

  1. 計画的付与の対象者(あるいは対象から除く者)
  2. 対象となる年次有給休暇の日数
  3. 計画的付与の具体的な方法
  4. 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
  5. 計画的付与日の変更

就業規則には・・・

年次有給休暇の計画的付与制度を導入する場合には、まず、就業規則に「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時期に計画的に取得させることとする」などのように定めることが必要です。

また拘束力は持ちませんが年次有給休暇を請求する際のルール作りも必要であると考えます。

割増賃金についてお悩みの事務担当者は多いと思います。
そこで今回は割増賃金について書いてみたいと思います。

割増賃金とは時間外手当・休日出勤手当・深夜手当の総称を指します。

【割増率】
  1. 時間外手当・・・1時間につき2割5分以上
  2. 休日出勤手当・・・1時間につき3割5分以上(法定休日)
    法定外休日は1時間につき2割5分以上です。
  3. 深夜手当・・・1時間につき2割5分以上(PM10:00〜AM5:00の間)
    * 時間外・法定外休日が深夜に行われる場合、1時間につき5割以上
    * 法定休日出勤が深夜に行われる場合、1時間につき6割以上

ここで気をつけないといけないのは法定休日出勤手当は時間に関係なく3割5分で通しという事です。(休日労働は最初から割増賃金のため残業という概念がない為です、但し深夜の割増は加算します)

法定外休日出勤手当は時間外手当に該当します。

【割増の基礎から除外される手当】

割増賃金の時間当りの単価を決める際、次の手当はその基礎から除外できます。

  1. 家族手当(扶養人数によって支給されるものに限定されます)
  2. 通勤手当(実費支給しているものに限定されます)
  3. 別居手当
  4. 子女教育手当
  5. 住宅手当
  6. 臨時の手当
  7. 1ヶ月を超える期間ごとに支払われる手当

ここで注意しないといけないのは5の住宅手当です。

【割増賃金の基礎から控除できる住宅手当】
  1. 住宅に対する費用に対して定率を乗じて支給する住宅手当(各個人の費用負担の実情によって支給される手当を指します)
    (EX)家賃の20%を住宅手当として支給する場合 等
     
  2. 住宅に対する費用を区分して支給する住宅手当
    (EX)家賃5万円以上〜8万円未満・・・2万円支給
    家賃8万円以上〜13万円未満・・・3万円支給 等
【割増賃金の基礎から控除できない住宅手当】
  1. 全員一律に定額を支給する住宅手当
     
  2. 住宅の実情でない要素で支給額が決定される住宅手当
    (EX)扶養家族の状況で支給額が決定されている 等

     
  3. 住宅の区分で一律に支給される住宅手当
    (EX)両親と同居・・・1万円

                独立して住んでいる・・・2万円 等

就業規則を確認して割増賃金の基礎を確認してみて下さい。

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最近では人材派遣会社の労働力なくして労働市場は回らなくなりつつあるのが現実ですね。
そこで今回は労働者派遣の許可基準について簡単に書いてみます。

【労働者派遣のできない業務】
  1. 港湾運送業務
  2. 建設業務
  3. 警備業務
  4. 病院などの医療関係業務(紹介予定派遣は除く)
  5. 弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士 等の業務
    (但し、司法書士・税理士・社会保険労務士の一部業務は改正予定)

これら以外の業務について派遣事業ができる事になるのです。

【労働者派遣事業の種別】
  1. 特定労働者派遣事業
    自社の常用雇用労働者のみを派遣する形態です。
    (EX)自社の正社員のみを他社に派遣する場合など
     
  2. 一般労働者派遣事業
    登録型
    の労働者を派遣する形態です。

この2つの事業の決定的違いは・・・

  1. 特定労働者派遣事業は厚生労働大臣に届出すればよいのですが、一般労働者派遣事業は厚生労働大臣の許可が必要です。(従って、一般労働者派遣事業の方がハードルが高いです)
     
  2. 特定労働者派遣事業は派遣先がなくても労働者を雇用しなくてはなりませんが、一般労働者派遣は派遣先がある場合のみ労働者を雇用すればいいのです。
     
  3. 一般労働者派遣事業の許可があれば特定労働者派遣事業の内容は含んでいる為、別途に特定労働者派遣事業の届出をする必要はありませんが、特定労働者派遣事業のみ届出している場合は一切、登録型派遣を行う事はできません
【許可基準】
  1. 欠格事由(禁固以上の刑に処せられた場合、あるいは罰金刑に処せられて5年が経過していない)に該当しない。
     
  2. 特定の企業にのみ労働者派遣(派遣先が、あらかじめ決まっていてその企業とのみ派遣事業を行う場合 等)を行う事を目的としていない。
     
  3. 派遣元責任者を選任している。(成年に達した後、3年以上雇用管理の経験がある者)
     
  4. 労働保険・社会保険ともに加入している。
     
  5. 教育・訓練を行う施設や設備が独立性を保った状態で確保できる。
     
  6. 個人情報の管理体制が整備されている。
     
  7. 財産要件をクリアできている。(一般労働者派遣事業のみに適用)
    基準資産額が下記①②両方の書式に当てはまる。
    基準資産額=資産の総額ー負債の総額
    *資産のうち繰延資産・営業権は控除します。
    現金・預金の額下記③の書式に当てはまる。

    ①・・・基準資産額>1000万円×許可事業所数
    ②・・・基準資産額>負債の総額×1/7
    ③・・・現金・預金の額>800万円×許可事業所数

    *①②③の>は=でも大丈夫です、また許可事業所数は人材派遣を行う会社の事務所数であり派遣先数ではありません。

     
  8. 事務所の面積が20㎡以上ある。
     
  9. 定款の目的に労働者派遣事業が入っている。

これ以外にも会社の立地条件などがあります。

たくさんの書類が必要になりますし、特に7の財産要件(一般人材派遣事業の場合)はハードルが高いですが、ある意味、様々の会社に様々な職種の労働者が在籍する事になるのですから妥当な気がします。

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最近は労使の紛争が増えています。
そこで、本日は試用期間について書いてみます。

労働基準法に試用期間の長さについて特に定めはありません。
しかし、過去の裁判での判例を見てみると最長で1年程度が妥当ではないでしょうか。
ただし、一般的には3ヶ月か6ヶ月が多いと思います。

まずここで大切な事は

  1. 就業規則等で【試用期間】を定める際に2ヶ月〜3ヶ月のように期間を曖昧にしないで3ヶ月とハッキリ明示する。
     
  2. 不必要に試用期間を長く設定しない。(これはモラル低下につながりますし、問題とされる場合がある と考えます)
     
  3. 試用期間の間と本採用後で賃金を区別している場合、必ず試用期間用の雇用契約書と本採用の雇用契約書を整備する。(本採用の雇用契約書には試用期間は勤続年数の計算に通算する旨を明記して下さい、又、面接時に必ず説明が必要です)

また、試用期間中であっても14日を越えると解雇予告が必要になります。(解雇ができないのではありません、あくまで予告もしくは予告手当が必要なのです)
社会保険・雇用保険においても雇入れ日から加入する義務があります。(試用期間後に加入する事はできません)

試用期間の延長については裁判の判例を見ても意見が分かれるのですが、一般的には・・・

  1. 就業規則等に試用期間の延長の理由を明確に定めた上、且つ、試用期間中に適正を判断できない特別な事情がある場合
     
  2. 正当な解雇事由があり、その救済措置として試用期間を延長する場合

上記2点ぐらいしか難しいでしょうね。

適正な処理で優秀な人材が雇用される事を願っています。

休日出勤の際に労働日に休みをとる制度に振替休日と代休があります。

聞いた感じは一緒でも、この2つの制度は根本的に違うのです。

【振替休日】
  1. あらかじめ就業規則などで休日の振替の定めをする。
     
  2. 本来の休日を労働日に振替える前に予告し、法定休日の条件(1週1日・4週4日以上)が満たされるように振替えを行う。

従って、休日と労働日が入れ替わる為、休日出勤の割増も36協定も必要ないのです。

【代休】

休日に労働が行われたその代償として後日休日をとると解釈する為、扱いとして休日労働になります。

従って、休日出勤の割増も36協定も必要になるのです。
こちらも混乱を招かないために、就業規則に定めが必要です。

いずれにしても、より良い職場環境は永遠のテーマですね。

法人様の労務管理上に欠かせないものの1つに雇用契約書があります。
労使間の対立を完全に回避するのは不可能であると考えますが、その予防策として1つの重要なツールになり得るのが雇用契約書と考えます。

法律的にも労働基準法第15条で労働条件の明示、または部分による書面での交付(則第5条)が定められています。

さて次の①〜⑬が明示すべき内容で①〜⑤は書面による交付が必要になります。

①労働契約の期間に関する事項
②就業場所及び従事すべき業務に関する事項
③労働時間に関する事項
④賃金に関する事項
⑤退職に関する事項
⑥退職金に関する事項(無ければ無いと伝える事)
⑦臨時賃金・賞与に関する事項(無ければ無いと伝える事)
⑧労働者に負担させるべき食費・作業用品その他控除に関する事項
⑨安全衛生に関する事項
⑩職業訓練に関する事項
⑪災害補償等に関する事項
⑫表彰・制裁に関する事項
⑬休職に関する事項

⑧〜⑬は就業規則の周知を含めて、実際に就業規則を明示して説明するのが望ましいと考えます。(就業規則を作成していれば・・・)
又、事業主及び労働者の記名・捺印も必要です。

面倒のように思われるかもしれませんが、初めにこの作業をする事によってモラルの向上・労使トラブルの軽減ができると考えます。

誰が話したかは、存知あげませんが正に「企業は人なり」安定的な雇用は必ず見えない付加価値を生み出す と信じております。

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0797-72-5931

ごあいさつ

代表 川添 章

所員ともども、お付き合いさせていただける日をお待ち申し上げております。

生年月日

1966年3月16日

職業

親切・丁寧な対応をモットーとしておりますのでお気軽にご相談ください。

経歴

1966年に神戸市魚崎に生まれる。
高校までを兵庫県西宮市で過ごし、大学時代の4年間を京都で過ごす。(京都産業大学経営学部)
人材派遣会社の管理社員を経て、1995年に川添社会保険労務士事務所を設立。
「サービスで満足して頂ける社労士事務所になる」「お客様と共に成長する」「お客様の目線で法律を考える」を基本理念として活動させて頂いています。

事務所案内

川添社会保険労務士事務所

0797-72-5931

0797-72-5932

E-mail:info@sr-kawasoe.jp
(業務エリア 神戸、大阪、
宝塚、西宮、尼崎 他)
〒665-0035
兵庫県宝塚市伊孑志3-2-1
プリムローズ逆瀬川402号

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